スーダンで数万人が死亡の恐れ 国連食糧機関が警鐘

(VOVWORLD) - スーダンで内戦がさらに1年続いた場合、国連は大規模な食糧援助の資金不足に直面し、飢餓のリスクが高い人々に支援が行き届かず、数万人が命を落とす可能性があると警告しています。

世界食糧計画(WFP)のスーダン危機担当緊急調整官であるショーン・ヒューズ氏は、国連での記者会見で、2年前に始まった紛争について、「どう考えても世界最大の人道危機を引き起こしている」と述べました。

WFPによりますと、飢餓はすでにダルフールやコルドファン地方の10地域に広がっていて、今後さらに17地域に及ぶおそれがあるということです。今後6か月間で6億5000万ドル、日本円でおよそ1000億円にのぼる資金不足が解消されず、必要な人々への支援アクセスが改善されなければ、状況は制御不能になるとしています。

ヒューズ氏は「この戦争はスーダンの人々と地域全体に壊滅的な結果をもたらしている」としたうえで、「WFPをはじめとする人道支援機関が十分な資源とアクセスを確保しないかぎり、3年目の戦争でさらに多くの人々が命を落とす」と強調しました。

スーダンの内戦は、2023年4月にスーダン軍と即応支援部隊(RSF)との間で始まった権力争いに端を発しています。これまでに数千人が死亡し、およそ1200万人が避難を余儀なくされています。

最近では、首都ハルツーム全域の支配権がスーダン軍に戻りましたが、RSFは依然としてダルフール地方を中心とした西部および南部の広大な地域を掌握しているということです。

特にダルフールのエルファシャー市周辺では戦闘が激化しており、その南にあるザムザム避難民キャンプにはおよそ40万人が避難しています。このキャンプでは昨年8月に初めて飢餓が報告され、現在も多くの人々が栄養失調で亡くなっているといいます。

ヒューズ氏は「明らかに恐ろしい状況だ」「エルファシャー、ザムザム、その他のキャンプは、ここ数か月飢餓の中心地であり、ダルフール紛争の震源地でもある」と述べました。

また「人々はサービスを受けられず、人道支援機関は基本的にキャンプから撤退せざるを得なくなっている」としています。

WFPによりますと、食料の最終的な配達は昨年10月に行われ、それ以降は現金のデジタル送金を通じて、住民が食料を購入できるようにしているということです。

しかし、支援活動が再開されなければ、スーダン全体で人口の半数近くにあたる約2500万人が深刻な食料不足に陥るおそれがあるとしています。

ヒューズ氏は「私たちは、前線や国境を越えた紛争地域を含め、人道支援を必要とする場所に、官僚主義的な長いプロセスを経ずに、迅速に移動させることができるようにする必要がある」と述べたうえで、「WFPは、毎月300万人への支援をなんとか増やしているが、今後数か月でこの数字を700万人に増やしたい」「すでに飢餓に苦しんでいる地域や、飢餓に陥る危険性が最も高い地域に焦点を当てる」と語りました。

なお、アメリカのトランプ政権による対外援助の削減が国際支援に影響を与えている中で、ヒューズ氏はWFPのスーダンでの活動資金は現在のところその影響を受けていないと述べています。

一方、赤十字国際委員会(ICRC)も10日、スーダンの壊滅的な人道状況に関する報告書を発表し、病院やインフラへの攻撃により、必要不可欠なサービスへのアクセスが著しく損なわれていると指摘しています。(アラブニュース)

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